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星の王子さま [たまごの本棚]

Le Petit Prince

Le Petit Prince

  • 作者: Antoine de Saint-Exupery
  • 出版社/メーカー: Gallimard
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: ペーパーバック

トイレで踏ん張りながら、ふと傍らにあった「フランス語単語集」を開いてみると、

《Dessine-moi un mouton.》(羊の絵を描いてちょうだい)

という例文が出てきて、んん?こら、どっかで読んだことがある文だ、と思ったら、『星の王子さま』でした。

『星の王子さま』、以前にも書いたことがありますが、著作権切れかなにかで最近、あちこちの出版社から出てますねー。こんなに出たら共倒れにならせんか、と心配になるくらい。

もともと子供向けのお話なので、第二外国語で少しマジメにフランス語をやったことのある人なら、多少辞書を引きながらでも読むことができると思います。

子供向き、とはいえ、なかなか洞察に満ちた本でもあります。久し振りに本棚の奥深く埋もれていた本を引っ張り出してみましたが、ノッケからこんなことが書いてある。

「大人っちゅうもんには、いつだって説明が要るだわ~」

語り手が幼い頃に描いた絵を大人たちが全く理解できなかったのですね。で、大人たちにもわかるように描きなおしたら、今度は、そんな絵なんか描いてないで、ほかの勉強をしろ、と言われたりして、すっかり落胆して、こんなことを言う。

「大人っちゅもんは自分ひとりじゃ、ぜったいになんにもわからせんだで。子供にしてみりゃ、いっつもいっつも大人に説明せんといけんちゃな、疲れるがな」

たしかにそうですなぁ。大人の世界は説明に満ちとる。官僚さま方の議員さまへのご説明から企業におけるプレゼンテーション、稟議書に至るまで。

トーマス・アルバ・エジソンは幼少の頃「なぜ?なぜ?」を連発して大人を閉口させた、という有名な話がありますが、案外、「なんでだ?ああ?なんでそんなことをする?」を連発しとるのは大人の方かもしれませんなぁ。

子供というのは「過剰」な存在ではないか、とタマゴは思うのですね。その、つまり、世間で通用しているタブローに収まりきらない、というか。平たくいえば、大人の思考・判断様式の範疇から溢れた存在でないか、と。これは実際に子供と身近に接しとんさる人には当たり前のことでしょうけど。

子供の発する片言隻語に「ウチの子は天才でないか!詩人になれるんでないか!」とあらぬ期待を寄せるのはなにもYH君だけに限らぬでせう。

しかし、一方で、子供は大人になる前の存在、大人を「人間」としたなら「人間以前」の存在と捉える考え方も多いですね。これは大人を基準に考えているわけで、子供はまだ未成熟である、自分で判断することは無論のこと、子供なりの世界や真理というものなどあり得ん、とまで言う人もあったりする。(これは極端な人ですが)

そういえば、タマゴが高校生の頃、「現代社会」という科目の教科書に「青年期は大人への準備段階である」と書いてあったです。これも大人を基準とした考え方ですね。「現代社会」を教えてくださったHK先生は、「こんなバカなことがあるか!あんたらぁは大人以前の存在として生きとるわけじゃないだろ!そこんとこ、消せ!」と教科書の塗りつぶしを命じられました。戦後まもなくでもあるまいし、まさか自分が教科書塗りつぶしを実践するとは思わんかったで。

ま、ちょっと話がズレましたが、『星の王子さま』は大人が読んでも面白いです。ちくま文庫でこのような本も出てますが、タマゴは読んだことがないけ、なんとも言えんです。こういう本に頼らずとも直接『星の王子さま』に当たった方がいいような気もする。

ちゅうわけで、これからちょいと『星の王子さま』を読み返してみますので、今回はこれまで。

「星の王子さま」をフランス語で読む

「星の王子さま」をフランス語で読む

  • 作者: 加藤 恭子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 文庫

 

 


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okko

トアレでフランス語単語集ですか、さすが、たまさん教養の塊(別の塊は出たかい?)じゃ。子どもは質問の天才ですな。それでか、私もそろそろ子どもに帰っていく道中なので、「何故?」「どうして、こう言うんだろう?」と、やたらルーツ探しに忙しい毎日です。それで今に「人間以上の者」に変化(ヘンゲ)するでしょう。「星の王女さま」になるかも知れん。
by okko (2006-03-30 10:04) 

温泉たまご

別の塊は常に快調に出とりますで!
「子供に帰る」。タマ母もよぉ言っとりますで。
「ワシはもう子供に帰りつつあるけーな」。
タマ母はもともと「人間以上」かもしらんですが。
くれぐれも「星の猛女さま」におなり遊ばされぬよう。タマ母はすでになっとる。
by 温泉たまご (2006-03-30 22:45) 

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