鴨なん蕎麦 [たまごのおでかけ]
(八雲庵の鴨なん蕎麦)
松江は好きな町で、ときどき行きます。この春も桜の盛りの頃、出かけました。
松江の見所はたくさんありますが、お堀端の塩見縄手もそのひとつ。
ここには、小泉八雲旧居とか八雲記念館、武家屋敷、田部美術館が軒を連ねています。
場所柄、「観光蕎麦屋」であることには違いないのですが、なかなか奥行きのある店で、
日本庭園を囲むように設えてあるお店の全貌を未だに知ることができません。
おまけに団体用に二階席もあり、いったい収容人数はどれほどか!と思うほどですが、
タマゴが入るのはいつも門をぐくってすぐ、とっかかりにある一般席。
芸能人のサインが所狭しと飾られてあるあたり、いかにも「観光蕎麦屋」なのですが、
蕎麦は美味い。
さて、先日数年ぶりに訪れた八雲庵。出雲蕎麦といえば割子(わりご)、汁物なぞは目もくれぬ、
というのがタマゴの基本方針なのですが、品書きをみれば「鴨なん蕎麦」と。
うーん、そそられますねぇ。 そそられた以上、注文するしかない。
やってきた鴨なん蕎麦、いかにも美味しそうではないですか。
ズズッと啜ってみれば、おお!出雲蕎麦は割子に限る、なぞと半可通を気取っていたのを反省。
出雲蕎麦は汁物も美味い!
すると、それを見ていたタマ爺、問わず語りのこのようなことを・・・・。
「あー、それが鴨南蛮ちゅうもんかいや・・・・
わしが隠岐島におった頃、みんなが鴨南蛮が美味いっちゃなんで言よーったが。
わしげは貧乏だったけ、蕎麦を食いに行くっちゃなことはできんかったが。
そーかいや、それが鴨南蛮ちゅうもんかいや・・・・」。
といつまでも鴨なん蕎麦から目を離そうとせん!
鬱陶しいのー。 こーなったら、しゃーない。「ちょっと食うか?」とタマ爺に丼を差し出す。
すると、待ってましたとばかりタマ爺、
「ズズズーッ、はぁー、ズズズーッ、はぁー、ズズズーッ、はぁー・・・・(n-1)・・・・n・・・(n+1)・・・」
いったいなんぼ食やぁ気が済むだいや! 慌てて丼を取り返す。
「はぁー、こーりゃ美味いもんだなー。生れてはじめて鴨南蛮を食べたがな。
鴨南蛮食べれて、わしシアワセ・・・・」。
そーりゃ、あんたはシアワセかもしらんけどなー、丼にはもう汁がちょびっとしか残っとらんがな!
フフ、また親孝行してしまったな。 鴨なん蕎麦を「死に土産」と思え。
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