岩波文庫の三冊 [たまごの本棚]
岩波書店のPR誌・『図書』を頂戴しました。
「岩波文庫創刊80周年記念号」で、「私の三冊」特集でした。
マネをして、タマゴの三冊を挙げてみます。
ちょっと迷いましたが、「心に沁みた」という一点で選んでみました。
(1)『柳宗悦茶道論集』 (熊倉功夫編)
(2)『風土 -人間学的考察ー』 (和辻哲郎)
(3)『小林秀雄初期文芸論集』 (小林秀雄)
(1)『柳宗悦茶道論集』 (熊倉功夫編)
受験前日、荻窪駅前の本屋さんで買いました。
翌日、新宿駅で友だちと待ち合わせ、試験会場へ向かいました。
特急は混むから、と各駅停車に乗りました。
どえらい時間がかかりました。
電車のなかで、この本を開きました。
「彼らは見たのである。何事よりもまず見たのである。見得たのである。」
冒頭の文章に惹かれました。
読み耽りました。
友だちとは口を利かないままでした。
帰りが別々になったのは、そのあたりに原因があるのかもしれません。
当時は、まさか自分が表千家の門人になるとは思いもよりませんでした。
現在、この本を読み返すことは・・・ありませぬ。
稽古せず、作法も知らず、寝そべり喫茶。 (千家号泣)
(2)『風土 -人間学的考察ー』 (和辻哲郎)
高校時代、例の現・校長先生が授業で使用されました。
班毎に読み込んで、それぞれの解釈を発表するという授業形式でした。
数ヶ月かけても、「序論」と「第一章」が精一杯でした。
『広辞苑』をやたらと引きました。
文中の言葉の定義を巡って、仲間と議論しました。
おかげで、本を読むより辞書を引く時間が長い、という悪癖に染まりました。
本の前半部だけ書き込みだらけになりました。
頁の一部は脱落しました。
ついでに髪の毛も脱けました。(悲劇的です)
今もこの本をたまに捲ってみることがあります。
が、読んでみる勇気は・・・ありませぬ。
抜け毛は毛沢東です。(もう沢山です)
(3)『小林秀雄初期文芸論集』 (小林秀雄)
小林秀雄、よく国語のテストに登場しました。
タマゴは苦手でした。
同級生には、よくわかったようです。
「小林秀雄の頭になったつもりで読むとわかるもんだよ、キミ」(DOS-Vくん)
「小林秀雄ですか?まぁ、わかりますけど?」(リカちゃん人形さん)
タマゴ・・・・今もわかりませぬ!
しかし、気楽に読んでみると、なぜか元気になります。
「ユンケル小林」です。
「リゲイン小林」「チオビタ小林」「グロンサン小林」「アリナミン小林」・・・。
むしろ「命の母(小林製薬)」と言うべきでせうか。
そのせいか、この本ばかりは繰り返し読んでしまいます。
勝手に名付けて「小林秀雄エッセンス」。
以上三冊。
気づいてみれば、いずれも十代の頃に読んだ本ばかり。
「心に沁みた」ということは、タマゴも当時は素直だったものと思われます。
僕の三冊って何かなぁ。
しいて言えば、子供の頃父親に繰り返し読んでもらった『古事記』と
『ロビンソン・クルーソー漂流記』(これらは大人になってからも度々
読んでいます)それから中学時代に受験勉強から逃避して読んだ
文学全集にあった大江健三郎の小説『死者の奢り』でしょうか。
最近は藤沢周平、池波正太郎など時代物を好んで読んでいます。
間違っても、学生時代苦しめられた小林秀雄は一生読むことが
無いだろうなぁ。
by horigon (2007-06-11 07:09)
兄の書架から、「講談全集」を抜き出して読んだ小学生時代、「里見八犬伝」とか「荒木又右衛門」
長じて、女の子であったことを思い出し、村岡花子先生、吉屋信子女史、またまた長じては、翻訳ものばかり。
「罪と×」「風邪とともに去りぬ」(死ぬんか、おまえ)etcというわけで、特別な3冊はありませぬ。
現在進行形、浅田次郎の「憑神」はおもしろいですよ。
by okko (2007-06-11 10:23)
本読まぬ侘び 参加の余地はござりませぬ・・・
何でもの雑学・・・難しいのは敬遠・・・
by 侘び助 (2007-06-11 10:57)
☆horigonさん。
『古事記』!すごすぎ・・・。
タマゴもいつかは読もうと思っておるのですが、
horigonさんはすでに幼少期から親しんでおられたとは!
『ロビンソン』の本作は読んだことがないのですが、
20世紀アップデート版のような
トゥルニエの『フライデーあるいは太平洋の冥界』には、
いまも強く惹かれます。
大江健三郎は、中期の連作短篇が好きだったのですが、
ノーベル賞以後、あまり面白くなくなりましたねぇ。
ただのいい人になってしまったような・・・。
池波正太郎は「剣客商売」をいくつか。
もっぱら食い物エッセイばかりを愛読しています。
池波氏の語り口には唸ることしきり、です。
三井老人とか、会ってみたくなりますねー。
年季が足りず、海坂藩にはまだまだ辿り着きませぬが・・・。
☆okkoさん。
「里見八犬伝」、「荒木又衛門」ともに鳥取に縁あり。
「八犬伝」のモデルになった人たちのお墓だか菩提寺だかが、
鳥取県中部の倉吉市にあったような・・・。(これは不確か)
「荒木又衛門」の方は自信あり。
鳥取市内の玄忠寺にお墓があります。
さすがに吉屋信子は読んだことがないですが、
村岡大先生の名訳はいくつか読んだことあり。
浅田次郎氏には親しみを覚えています。(特に頭髪)
タマ爺は映画「鉄道員(ぽっぽや)」が好きなようです。
健さんになったつもりでおるのかもしれませぬ。
☆侘び助さん。
いつぞや、元・県知事のご子息とお話しする機会があったのですが、
曰く、父君の教えはただひとつ、
「雑学の大切さ」ということだったそうです。
そうすれば、いろんな人と話ができる、と。
「だから、キミとも話ができるのだよ」と諭されました。
タマゴ、間口が狭すぎるようです。
by 温泉たまご (2007-06-12 00:57)